先日、たまたまテレビを見ていたらNHKで「ロストフの14秒 日本vs.ベルギー 知られざる物語」という番組を放映していました。ワールドカップ決勝トーナメント1回戦、ロシア・ロストフアリーナで行われた、「日本VSベルギー」。後半アディショナルタイムに生まれた14秒のプレー。日本のベスト8進出の夢を打ち砕くとともに、大会ベストゴールのひとつとして世界から絶賛された、ベルギーの超高速カウンターシュートのドキュメンタリーです。 番組では、日本、ベルギー双方の選手、かつての日本代表監督など、20人以上のキーマンのインタビューを通じて、この14秒のプレーがどう生まれたのかを解説していました。
その中で長友選手のインタビューが印象に残っています。
彼はそのカウンターシュートを守れなかった選手の一人。その理由を次のように語っていました。
「有力選手をガードしていたがその選手がボールを直接ゴールせずに彼の後ろの選手に流す、つまりボールをスルーするとは思わなかった。彼には背中が見えていた。僕には見えなかった。見えてはいたが、背後の見え方が桁違いに違う。勝敗は背後がどのくらい明瞭に見えているかである」という趣旨の内容でした。
サッカーの守りでは相手の選手が自分の前にいることはありません。もしいればそれはオフサイドで反則だからです。常に相手を背後に見ながら、感じながら守るわけです。
ゴールポストは前にありますからどの選手も前に向かって走っています。しかし、実際のボールは背後からやって来ます。つまりどれだけ背面を見ることができるか、または背中側を意識することができるかどうかがボールが見えていることに繋がるわけです。
「勝利したベルギーの選手は桁違いに背中側が見えていた。選手の背後にもう一人の選手が空いていることを察知して自分は蹴らずに背後の選手に委ねたことが勝負を決めた。背中がよりよく見える、意識できるチームが勝利する。」そのようなことを長友選手は語っていました。
すばらしい発言だと感銘を受けました。ご存知の通り長友選手は「ヨガ友」という本を書かれています。ヨガの実践者です。多分ヨガを通じて気がつく意識が高まっておられるのだろうと思います。ご本人が気づかれているかどうかは別ですがヨガを通じて背面への意識が高まっているのだろうと思います。またサッカーでも背面を意識して守ることが多いので背面に対するそもそもの感覚が鋭いのだろうと思いますが、この背中が見えているかどうかが勝敗を決めるという一言はまさにヨガ的な発言です。そこに、長友選手が気づいていることが素晴らしらしいですね。
ヨガでは前面はエゴと繋がっていると言われています。オレオレ!などと自己主張する時は胸の前面を突き出します。
一方、背面は宇宙と繋がっていると言われています。つまり背面を開く、背面を膨らませる、後屈する、背面に身を委ねることができれば宇宙と繋がって幸せが近づくという考えです。
私たちは目が前面にあるので前を向いて前面を意識して行動しがちですが背後の目にも意識して生きることが至福に繋がるという教えです。
BOWSPRING YOGAでも背面を強化するポーズが多く、背面を拡張することを意識しています。このことが心と身体のバランスを整えて、健康にも繋がるからです。
背面の筋肉は重力に抵抗して私たち人間が二足歩行してヒトとなるための重要な筋肉。他の動物との差別化を図るキーとなる筋肉です。この背筋、抗重力筋を鍛えることが脳の運動にもなっています。
背中を意識して、背中を鍛えることが格段にヒトとしての能力を高めるのです。
長友選手が言うように背中の意識がより繊細になればサッカーにも勝てるのです。
私たちももっと背筋を鍛え、背面を意識して生活するようにしたいものです。そのためには背筋を伸ばし、常に頭を上にそして後頭部を背後に押すようにしてください。
上半身は常に床と垂直に保ちましょう。頭が前に出ないように。エゴの前面を控え目に。
背中側に呼吸を送り込んで膨らませましょう。背面を意識することで自身の生活でも勝利をもたらしましょう!
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