ヨガ講師育成トレーナー、 リブウェルインスティテュートのKenです。
前回は、 「ハーフ太陽礼拝」 についてお伝えさせていただきました。
少し復習してみましょう。
ハーフ太陽礼拝、つまり太陽礼拝の前半部分、立位のパートでしたね。体の屈曲、伸展を中心とした動きです。前屈して手を床につける、そこから体、特に腰と首に負担を掛けずに上体を起こして行く際に気をつけることは何だったでしょうか?
そうですね、腰と首のカーブを作りながら屈曲、伸展をすることが重要でした。
つまり、前屈する際は膝を曲げて腰を後ろに突き出して腰のカーブを意識する、逆に起き上がる時も膝を曲げて腰を突き出し、前を見て首にもカーブを作った状態で充分に正しい姿勢を準備してから起き上がることがキーポイントでした。
それでは、膝を曲げる時にも注意点がありましたね。
膝を曲げる時のポイントは、以下でした。
腿の内側を後ろに回しながら腿を外側に開き出して膝が内側に入ることを避ける!
これらの点を押さえて、充分に体の使い方に意識を向けて上下運動をして下さいね。
さて、本日は、前半の立位のパートに追加して後半のヴィンヤサと言われる座位のパートを付け加えて太陽礼拝全体についてお伝えしていきます。
それでは、さっそく 「太陽礼拝を学んで、教えよう」 第四回目の内容です。
◆――――――――――――――――――――――――――――◆ 本日の内容 4-1. ヴィンヤサシークエンスとは 4-2. 呼吸は吐くことがメイン、吸う呼吸はサブという原則 4-3. 誰でも簡単に教えられる太陽礼拝指導上のコツはシンプルさ ◆――――――――――――――――――――――――――――◆
=========================================================== 【Step4-1】 ヴィンヤサシークエンスとは ===========================================================
前回は、太陽礼拝の前半部分、立位のパートをお伝えしてきました。
今回は、後半の座位でポーズを繋ぐパートを具体的に見ていきましょう。
ヨガではダウンドッグ、下向きの犬のポーズ、サンスクリット語でアドムカシュヴァーナアサナからいくつかのポーズを経由して同じ、アドムカシュヴァーナアサナに戻るこの一連のポーズの流れ=シークエンスをヴィンヤサと呼ぶことがあります。
これは一般的には下記となります。
1、 アドムカシュヴァーナアサナ 2、 プランクポーズ(1枚の板のポーズ) 3、 アシュタンガアサナ(エイトポイント、8点のポーズ)またはチャトランガダンダアサナ(上級者向け) 4、 ブージャンガアサナ(コブラのポーズ)またはウルドバムカシュヴァーナアサナ(上級者向け) 5、 アドムカシュヴァーナアサナ
呼吸に合わせると次のようになります。
1、 アドムカシュヴァーナアサナ 2、 吸って プランクポーズ(1枚の板のポーズ) 3、 吐いて アシュタンガアサナ(エイトポイント、8点のポーズ)またはチャトランガダンダアサナ(上級者向け) 4、 吸って ブージャンガアサナ(コブラのポーズ)またはウルドバムカシュヴァーナアサナ(上級者向け) 5、 吐いて アドムカシュヴァーナアサナ
ハーフ太陽礼拝の後に、このヴィンヤサで繋いだものが太陽礼拝というものになります。正式には太陽礼拝にはいくつかの種類があるのでこれを通常「太陽礼拝A」と言うことが多いです。
まとめると次になります。
1、 タダアサナ 2、 ウルドバハスタアーサナ 3、 ウッターナアサナ 4、 アルダウッターナアサナ 5、 プランクポーズ 6、 エイトポイント 7、 ブージャンガアサナ 8、 アドムカシュヴァーナアサナ 9、 ウッターナアサナ 10、 アルダウッターナアサナ 11、 ウッターナアサナ 12、 ウルドバハスタアサナ 13、 タダアサナ
これに呼吸を合わせると次のようになります。
1、 タダアサナ 2、 吸って ウルドバハスタアーサナ 3、 吐いて ウッターナアサナ 4、 吸って アルダウッターナアサナ 5、 吐いて プランクポーズ 6、 吸って プランクポーズ 7、 吐いて エイトポイント 8、 吸って ブージャンガアサナ 9、 吐いて アドムカシュヴァーナアサナ 10、 3呼吸して休む 11、 吸って アドムカシュヴァーナアサナ 12、 吐いて ウッターナアサナ 13、 吸って アルダウッターナアサナ 14、 吐いて ウッターナアサナ 15、 吸って ウルドバハスタアサナ 16、 吐いて タダアサナ
ハーフ太陽礼拝もフルの太陽礼拝も一呼吸一動作で動くスタイルのヨガです。これもまたヴィンヤサと言いますが(ヴィンヤサには色々な意味合いがあります)、太陽礼拝はヴィンヤサの代表的なシークエンスなのです。
では次にこの太陽礼拝を上記のように呼吸に合わせる際に注意したい点について見ていきましょう。
=========================================================== 【Step4-2】 呼吸は吐くことがメイン、吸う呼吸はサブという原則 ===========================================================
ここで、ヨガにおける呼吸についてお伝えしていきましょう。
人は生まれた時に「おぎゃー」と吐いて生まれて、臨終時に息を引き取ると言われています。つまり「吐く」ということが「生きる」ということの証です。吐けていれば生きていけるのです。
事実、力を入れる時に吐きますよね。何かを押す時、力を入れますが、その時は必ず吐きながら行っているはずです。 ヨガでもメインのポーズをとる時、ジャンプする時、屈曲する時、ツイストする時、必ず力を入れるので吐きながら行います。
では吸う呼吸は何をするのでしょうか。
吸うは「吐く準備」です。伸展する時は吸いながら伸びますがそれ以外は「吸って準備」、つまり「動かない」ということになります。吸って一呼吸して「吐いてアクション!」が基本になります。逆に言うと、動く時は原則、吐いているし、止まっている時は吸っています。
太陽礼拝もこの約束に沿って体を動かせばよいだけです。
つまり 「吸って準備、吐いてアクション!」 です。
理屈がわかれば体の動かし方、呼吸と共に動作を指導する方法はさほど難しいものではありません。ただし頭でわかっていても実際は上手くいかないというのが実情。あとはこれを口に出して慣れるしかありませんよね。是非、頭で考えなくても体が慣れて動けるまで練習していきましょう!
=========================================================== 【Step4-3】 誰でも簡単に教えられる太陽礼拝指導上のコツはシンプルさ ===========================================================
これまで太陽礼拝の流れについてお伝えさせていただきました。
ハーフ太陽礼拝のパートの屈曲、伸展での首と腰のカーブを意識させる指導の重要性はこれまで見てきたので大丈夫だと思います。 あとはこの太陽礼拝をどのように指導するかです。
太陽礼拝の指導で最も大切なことは
一呼吸一動作。
「呼吸の一定のリズムに合わせて体を動かす」ことです。つまり、「同じリズムで体を動かす」ということです。「吸って~、吐いて~」という呼吸の一定のリズムに合わせて体も同じリズムで動かせるかということです。
よくある3つのミスは
1、 一呼吸はだいたい5秒で吸って、同じ5秒で吐きます。その呼吸のリズムに合わせてヨガはゆっくりと行うものですが、呼吸がそれぞれ短くあわただしいものになってしまう 2、 最初はゆっくりだったが最後の方になると早くなっている 3、 吸う呼吸が短く、ポーズをとる前にしっかりとポーズへの準備ができずにポーズでつまずく、転ぶ、腰に負担を掛ける
以上のことがないように自分自身も指導する際は呼吸をしながらとにかくゆっくりと呼吸を意識して指導すると良いです。心の中でメトロノームを鳴らしながら一定のリズムで指導するようにしましょう。
特に太陽礼拝で初心者の先生が失敗する下手な指導の例としては 「必要ないことを色々言うこと」です。
呼吸に合わせる以上、それほど情報を生徒さんに伝えることはできません。
逆にいえば
呼吸とポーズ名をゆっくりと正確に言うだけで充分なのです。
太陽礼拝は基本的なシークエンスですのでクラスでの指導であれば経験者にクラスの前方で模範的にポーズをとってもらいましょう。なので先生は余計なことを言わずにメトロノームのように一定のリズムでクラスをリードできればそれで良いのです。
ヨガ講師はクラスではオーケストラの指揮者のようなもの。自分が上手く楽器が弾ける必要はありません。リードしてくれるのはオーケストラで言えば第一バイオリン奏者です。 指揮者たるヨガの先生は余計なことを奏でずに一定のリズムで指揮棒を振ってもらいたいのです。
つまり、ただ呼吸とポーズ名を正確に言うことから始めましょう。 動かない時は「吸ってポーズ名」で動かないでしっかり次に準備するように合図を送りましょう。「吸ってポーズ名」を短く言ってしまいリズムを崩す初心者先生が沢山います。 余計なことを言えば言葉が多すぎて呼吸内の長さで言えず呼吸の長さが伸びてしまい、一定の呼吸が保持できません。
まずは次にように無駄を省いてシンプルに同じリズムでゆっくりとガイドする練習をしましょう。
無駄を省くこと、効率を高めることがヨガの目的でもあります。 最低限度の言葉で太陽礼拝を指導できるようになりましょう。 余計な指導よりも綺麗なリズム、発音の方が参加者の生徒さんも心地良くクラスに参加できます。まずは下記のようにただシンプルにガイドするようにしましょう。 言い過ぎないことが良い先生になるための秘訣です。
ヨガの優れた先生の共通点があります。優れた先生であればあるほど、余計な言葉をほとんど使いません。厳選された効果的な言葉だけでクラスを運営しています。
仮になにか言いたくなったら静寂「間」を取りましょう。 とにかくシンプルにガイドすることが肝要です。
もう一度、呼吸とポーズ名だけのガイドを書きますね。 とにかくこれを使ってゆっくり呼吸と共に指導できるように慣れて下さい。
1、タダアサナ 2、 吸って ウルドバハスタアーサナ 3、 吐いて ウッターナアサナ 4、 吸って アルダウッターナアサナ 5、 吐いて プランクポーズ 6、 吸って プランクポーズ 7、 吐いて エイトポイント 8、 吸って ブージャンガアサナ 9、 吐いて アドムカシュヴァーナアサナ 10、 3呼吸して休む 11、 吸って アドムカシュヴァーナアサナ 12、 吐いて ウッターナアサナ 13、 吸って アルダウッターナアサナ 14、 吐いて ウッターナアサナ 15、 吸って ウルドバハスタアサナ 16、 吐いて タダアサナ
では、本日の学びをまとめてみましょう。
◆――――――――――――――――――――――――――――◆ ・座位はヴィンヤサシークエンスで繋ぐ ・呼吸は吐くことがメイン、吸う呼吸はサブ。動かない時は「吸う」呼吸で繋ぐ ・優れた講師ほど無駄なガイドはしない。まずは呼吸とポーズ名だけでシンプルに指導しよう ◆――――――――――――――――――――――――――――◆
いかがでしたでしょうか?
すでに太陽礼拝を教えている先生の方も多いかもしれません。
しかし、それを正しく、美しく指導できている方が、 果たしてどのくらいいるでしょうか。
大切なのは意識してガイドしているか、意識してポーズをとっているかです。 できだけ無駄を省いて効率的に、シンプルにガイドするようにしましょう。 本質と無駄との違いに意識を向けて、その差に気づいていきましょう。 シンプルなガイドはシンプルで美しい生活に繋がります。 生活から余分なことを取り除いた先に真の自分があるとヨガでは言われています。 マットの上でもシンプルを目指しましょう。
では、また次回、お会いしましょう。
リブウェルインスティテュートのwebサイトはこちら https://www.livewell-institute.com/
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